皆さんこんにちは!
ホビー天国2-3階担当スタッフです!
今年は梅雨入りしたかと思ったら、突然夏日が訪れましたね。
ですが、晴れていてもエアブラシ作業では油断禁物。この時期は湿度が高くエアブラシを吹いていると「水吹き」が起こりやすいので、エアーレギュレーターや簡易フィルターを常設しておくのがおすすめです。作業後のアフターケアとしてホースを外して吊るしておくこともお忘れなく。
それでは、ファレホペイントコンテスト4の作品紹介へと参りましょう!
今回も様々な力作が登場していますよ!「ファレホペイントコンテスト4エントリー作品紹介⑮」皆様是非ご覧下さい!
スタッフコメント:ノーチラスミニチュアより、蛸のケローゼンが登場。台座にはホットゴブリンのキットを使用され、宝物庫のシチュエーションを演出しています。ポップな色調で塗られたケローゼンや、重量感ある宝物の質感が目を引く作品となっております。
ケローゼンの体表は一見するとパープル一色で塗装されているように見えますが、実はざらざらとした表面にピンクを交えながら仕上げられてます。点描技法のように短いタッチでピンクを配置されているため、離れて見ると独特な色調が現れるといった視覚効果を用いられています。
またケローゼンに捕らえられたゴブリンですが、こちらはベースカラーであるグリーンの上からウォッシングを施されており、頬や鼻、耳の先端はうっすらと赤みがかっています。表情が際立ち、よりコミカルな印象が強調されていますね。
お次は金銀財宝の山(台座部分)を見てみましょう。輝く硬貨たちが山積みになる様子は、ゴールド、シルバー、カッパーをランダムに塗布することで輝きにメリハリをつけています。
一方、色とりどりの宝石たちですが、これらの塗装はグラデーションとハイライト塗装で仕上げられています。滑らかなグラデーションと鮮明なハイライトが目を引き、まるで宝石が輝いているかのように美しく仕上げられています。
ケローゼンやゴブリンの生物感から財宝の輝きまで、質感表現が楽しめる作品でした。
スタッフコメント:続きまして、「Roy」様の2作品目になります。
Clay Cyanide Miniaturesより、Mini Miceが登場。台座はウォーハンマーのキットの一部を使用されているそうで、ネズミたちの冒険のワンシーンを切り取った可愛らしいジオラマ作品となっております。
元々、ネズミたちはそれぞれが独立したミニチュアとして制作されていたそうですが、、本コンテストに向けてストーリー性のあるジオラマに仕上げようと方針変更されたそうです。手に持つ武器はもちろん、マントやヘルメットといった共通の装備も異なるカラーで塗り分けて個性を強調されています。近くで見てみるとネズミたちのリアルな毛並みや、武器の幻想的なエフェクトが緻密に表現されていることが見られ、可愛らしさと勇敢さを兼ね備えたキャラクターに仕上がっていますね。
台座にはメカカラー スチールを使用され、その上からウォッシングを施すことで寂れた建物の雰囲気を表現されています。よく見ると床が抜けた箇所や切れた配線、むき出しになった回路などは細かく色分けして情報量を増やされており、奥行きのある世界観を感じさせます。
さて、本作品の見どころとして忘れてはならないのが、小隊の後方から密かに忍び寄る触手の存在です。一匹の隊員がその存在に気付き、剣を構えながらまさに作品タイトルの台詞を口にする場面となります。リアルな質感で塗装されたネズミたちや台座とは異なり、触手はポップな色使いが特徴的で、敵らしい異様な存在感が目を引きますね。
一つ一つの塗装表現だけでなく、魅力的なレイアウトによってストーリーが一目で伝わってくる作品でした。
スタッフコメント:「くれ」様が2作品目をお持ち込みくださいました!ありがとうございます!
「ゆるキャン△」より、ソロキャンプを堪能する志摩リンのジオラマ作品が登場。海洋堂 ARTPLAとセガワモデリングのジオラマキットを組み合わせ、細かなキャンプ用品までほぼ全てファレホ筆塗りで仕上げられています。
1/24アニメスケール(約3.5cm)のプラキットでありながらも、ジャケットとマフラーはカラフルに塗り分けられており、フリーハンドによる美しいラインが目を引きます。各カラーはアニメを参考に調色されたそうで、パステル調の柔らかな色合いでまとめられています。
キャンプ用品も一つ一つ丁寧に仕上げられており、特にコッヘルやステンレスボトルに塗布されたガンメタルは重厚感や使用感がしっかりと伝わってきます。また、カップヌードルは中身の塗装にもこだわりが感じられ、麺以外の細かな具材も筆塗りで表現されています。そしてキャンプには欠かせない薪も丁寧に塗られており、樹皮部分の塗り分けから木目の描きこみまでリアルに仕上げられていますね。
岩場のジオラマともぴったりに馴染み、自然との一体感や温かみを感じさせる作品でした。
スタッフコメント:ビッグチャイルドより、侍 マルクサシが登場。刀や甲冑、腰巻きなど武者を連想させるデザインが特徴的となっています。
商品パッケージではオレンジ系の肌をしたマルクサシですが、本作品は「緑系の肌色」にアレンジされており、数あるファンタジー作品で登場するオークのイメージで仕上げられています。
肌塗装ではエクスプレスカラーを活用されており、筋肉の造形がくっきりと浮かび上がった屈強な仕上がりが目を引きます。特に背面から見える僧帽筋は圧巻の完成度で、正確な陰影と強めコントラストが立体感を引き立てています。
腰回りの袴ですが、こちらも細かいシワに沿った陰影のグラデーションがメリハリを感じさせます。肌とは同じ色合いで塗装されていますが、筆のタッチを変化させならがしっかりと布らしい質感を表現されていますね。
武具は"赤備え"のイメージを意識されていて、草摺(くさずり)や臑当(すねあて)のやや渋みのあるカラーリングは豪傑の雰囲気を漂わせています。また、金色の装飾部分は光沢を抑えたノンメタリック塗装で表現されており、全身のトーンや質感に対し調和のとれた仕上がりが魅力的ですね。
両手に持った刀も、同じく落ち着きのある金属光沢で仕上げられています。左手に持った刀に注目してみると、刀身にぼんやりと緑がかったグラデーションが見られ、反射で映り込む肌の色を表現されていることが分かりますね。
パッケージイラストには無い、実際の材質に着目した塗装表現が目を引き、幻想的な世界観とリアルな視点が見事に融合した作品でした。
スタッフコメント:前回のファレホペイントコンテスト3にてスタッフセレクト賞を受賞された「shiro」様が今回もご参加くださいました!ありがとうございます!
バンダイ「Bトレインショーティー」より、蒸気機関車D51-498号機が登場。「デゴイチ」の愛称で親しまれた日本鉄道の名車を、モノクロ写真をイメージしたジオラマ作品に仕上げてくださいました。
塗装の際はデゴイチのモノクロ写真を参考にされたそうで、白から黒までのグレートーンのみで表現されています。クラシックな外観が引き立ち、ミニサイズのデフォルメキットでありながらもさながら実物のような重厚感が伝わってきます。また、明るめのグレーを車体右側にエアブラシで吹き付けられており、進行方向右側から降り注ぐ太陽光の存在が感じられますね。
煙突から排出される煙もしっかりと再現されているため、デゴイチの疾走感が一目で伝わってきますね。また、綿で作られた煙は色の濃淡をつけることで動きを感じさせ、モクモクと煙の立ち上る様子が自然に表現されています。
立体物をあえてモノクロ調の色使いで仕上げるといったユニークな発想を取り入れられた、見ているだけでもノスタルジックな気分に浸れる作品でした。
スタッフコメント:「フィリス・ユリースト」様が2作品目をお持ち込みくださいました!ありがとうございます!
SHEIK MAINLANDの1/144スケールオリジナルプラモデルシリーズ「ULTRA ACTION TROOPER」より、「ZA-08 ZAROV」が登場。成形色を活かしつつ部分塗装やスミ入れにファレホを用いられ、各所のディテールアップがリアリティを引き立てる作品となっております。
"メーカーオリジナルプラモデル"ということでアニメや漫画などの原作が存在しないロボットですが、「フィリス・ユリースト」様は独自の追加塗装を施して全身に情報量を追加されています。さらに使用された色はファレホのカラーバリエーションの中から精選した"成形色と一致する色"だそうで、全体の配色を崩すことなくアレンジを加えられています。一見するとパーツ単位で色分けされていそうなライフルも、オリーブグリーンの部分はファレホで塗り分けられたものだそうです。
精密なメカディテールを際立たせるように、全身にはモデルウォッシュによるスミ入れが施されています。マッシブなボディに浮かび上がる数多くのモールドが密度を感じさせますね。
また、素組みの状態ではダークグレー1色のカメラアイですが、こちらはファレホとマジックルミペイントで塗装されており、ブラックライトで照らすと赤く光るそうです。
最後はメカ マットバーニッシュでコートされ、プラスチックの質感を抑えた重量感満載の仕上がりとなっています。元のデザインに溶け込む自然なアレンジが加えられ、簡単フィニッシュとは思えないほど洗練された作品でした。
スタッフコメント:名作ホラーアドベンチャーゲーム「Ib」より、主人公イヴが登場。イベントディーラー「3色おこわ」様のキットを使用されて、ガールズフィギュア部門でのエントリーとなります。ファレホを使った塗装は初めてとのことですが、水彩の経験を活かしつつ「Ib」の世界観を表現してくださいました。
実際にゲームをプレイされた方はご存知かもしれませんが、「Ib」の舞台となる美術館の中は色鮮やかな床や壁で囲まれつつも全体的に薄暗く、僅かな照明が不安や恐怖感を掻き立てる空間となっております。
「筑屋」様はそんな「Ib」の世界観に合わせて、明るさを抑えた落ち着きのある色合いを意識されています。服装の塗装では"影"を強調されており、美術館に漂う不気味な空気をしっかりと反映されています。特にスカートやリボンは鮮やかなレッドの上からエクスプレスカラーを塗布されているそうで、陰影のついた深みのある色合いに仕上がっています。
肌塗装もゲーム画面や世界観に合わせて血色感を抑えた仕上がりとなっており、可愛らしくもどこか儚げな印象が感じられます。
小さなキットですがアイペイントも丁寧な仕上がりです。ちなみにゲーム画面はほとんどドット絵となっているため、タイトル画面のイラストを参考にされているそうです。
独特の雰囲気をもつ「Ib」の世界観の魅力を、筆塗りによる塗装表現でぎゅっと凝縮してくださった作品でした。
スタッフコメント:続きまして、「筑屋」様の2作品目になります。
にじさんじ所属のバーチャルライバー不破湊のマスコットキャラクター「フワッチクルーラー」が登場。イベントディーラー「ラムネソーダ」様のキットを使用されて、フリー部門でのエントリーとなります。
「フワッチクルーラー」についてですが、主にライブ配信にて登場する他、グッズ化もされているキャラクターではありますが、「筑屋」様曰く本キットの塗装においては参考資料となるものが極めて少ないことが難点だったそうです。
まず元のイラストの色合いを再現するため、紫とピンクにはゲームカラー 蛍光ピンクを混ぜられています。そしてベタ塗りでの単調な仕上がりを避けるため、ねじれ模様の溝付近は暗めに調色することで立体感を強調されています。
その外見やキャラクター名から、某有名ドーナツチェーン店の人気商品を彷彿とさせるキャラクターですが、「筑屋」様もそこから着想を得てユニークなアレンジを施されています。よく見ると表面にはパールの輝きが見られ、こちらはドーナツをコーティングするシュガーシロップをイメージされているそうです。つやつやとした光沢が目を引き、甘い香りを漂わせるかのような仕上がりですね。
一見シンプルに見えるキャラクターデザインでも、独自のアレンジを加えることで立体物ならではの魅力が引き出された作品でした。
スタッフコメント:ファレホペイントコンテストに毎回ご参加してくださっている「行き詰まり」様が、今回もエントリーしてくださいました。ありがとうございます!
ハセガワ 1/72 二式水上戦闘機 & 強風 "第934航空隊 コンボ"を使用された作品が登場。
本作品は強風が誕生するまでの試作機となる「十五試水上戦闘機」を制作されております。
「行き詰まり」様は、先ず十五試水上戦闘機の正確なカラーリングを調べるところから始められたそうです。現存する資料も少ないため、貴重な資料を基にファレホで近い色を厳選され、プライマーのUSNライトゴーストグレーとモデルカラー ジャーマングレーの色彩にたどり着いたとのことです。色選びに妥協を許さない姿勢は流石ですね。
また飛行状態で制作された本作品には、ファレホで塗られたパイロットがしっかりと搭乗していて、細かい演出にも抜かりのない仕上がりとなっています!
十五試水上戦闘機のグレーに使われているのはプライマー(下地塗料)なのですが、ご覧の通り両翼や尾翼のシャープなラインが見られます。
「ファレホプライマーは筆塗りでも塗膜が薄く仕上がる」ということを、「行き詰まり」様は熟知されていて本作品の塗装に使われているため、プライマーでありながらこのようなエッジやモールドを活かした仕上げができるのですね。
ファレホプライマーの思いがけない使い方や、「行き詰まり」様のこだわりが見どころの作品でした。
スタッフコメント:ガンダム0083より、HGUC GP01ガンダム試作1号機 ゼフィランサス(以下GP01)が登場。キットのカラーガイドに沿った色彩で仕上げられており、スミ入れ以外は全てファレホ筆塗り塗装されています。ガンダムといえば武器はビームライフルが定番ですが、本作品は劇中の模擬戦で使用した90㎜マシンガンを装備しています。
「Kazunoir」様は、GP01のフォルムが好きで本作品の制作に望まれたのだそうです。そのため、塗装にはグラデーションやウェザリングは一切使われず、設定のカラーリングのみで仕上げられています。
筆塗りでありながらも、薄く仕上げられた塗装面は均一な仕上がりとなっていて、ライティングによって落ちた影が綺麗なエッジを立たせ、自然な陰影による立体効果が得られています。
GP01の特徴的な形状のシールドですが、「Kazunoir」様は青い部分も筆塗り塗装で仕上げられています。
これほどの広い塗装面を、筆ムラのない均一な塗装面で仕上げられていることから「Kazunoir」様の筆塗りにおける基礎塗装技術の高さがうかがえますね。
ホワイトとブルーが良く映えるGP01を、ファレホを使った筆塗りで美しく仕上げて下さった作品でした。
さて、今回のご紹介はここまで!
次回はいよいよ「ファレホペイントコンテスト4」最後の作品紹介となります。名残惜しいですが、皆さん是非次回をお楽しみに!